高校生のとき付き合っていた彼女。
夕方のバイトが早く終わりそうだから、そのあと彼女の家で遊ぶことにした。
その日は大雨で、とはいえ彼女の家に行く手段は原チャリしかなくて。
少し遅くなってしまったし、早く会いたいし、とにかくフルスロットルで彼女の元に向かう。
彼女の家に着くと、できるだけ濡れないようにして開いたケータイで、「着いたよ」と連絡する。
雨は相変わらずひどいし、早く開けてくれないかなと玄関で待つ。
ところが返事がない。
電話にも出ない。
このままでは風邪をひいてしまう。
早く会いたいのに。
この日はそのまま彼女の家に泊まろうとしていたから、お風呂にさっと入るイメージをしていた。
まさか外で天然のシャワーを浴び続けることになろうとは。
これはマジでやばいと思い帰ろうとしたとき、彼女はようやく電話に出てくれた。
ずっと待っていたのに、遅かったからすねてしまったそうだ。
その後、彼女のお母さんに怒られたと知った。
いくらなんでも、ずぶ濡れで放置はやりすぎと念を押されたらしい。
お母さんに感謝である。
感情のすれちがいについて
人同士のことであれば、すれちがいはいつだって起こりえます。
自分がいくら相手のことを気にかけたって、相手がそう感じないのであれば、無視しているも同然なのです。
LINEをして既読がつき、そのまま返事がなかったとしても、それは好き嫌いとかではなく、単にすぐに返事ができない状況ということです。
行動としてそうなのか、心がそうなのかわかりません。
とにかくすぐに返事ができない状態なのだ、そして時間ができたとしても、すぐに返すかはわからない。
そのようなわけで、そこに愛があるかは別問題なわけです。
そして、愛を伝える手段も人それぞれで、「会いたい」とか「好き」って言われると愛を感じる人がいる一方で、「清々しいね」と空気を一緒に感じられることに愛を感じる人もいる。
極端なことを言えば、その場に一緒にいてまったく話さないことに幸せを感じる人もいる。
一緒にはいたい、でも話したいわけではない、とはいえ確かに愛を感じる状態なのです。
感情のすれちがいというのは日常で常に起こっています。
大丈夫? の一言でも、本気で心配して言ったことでも相手には「バカにしてるのか」と取られることがあります。
相手がそれを口に出そうものなら、あなたはムッとするかもしれません。
自分が伝えようとした感情を相手がそのまま受け取るとは限りません。
相手の言葉も、相手が意図したとおりにあなたに伝わることは稀でしょう。
わからないことが当たり前なんです。
だから、合わないから別れるなんてのはもったいないことで、合わないとわかったからこそ対応できるんですよね。
じっくりとお互いの感情を見せ合って、約束事を決めたり、単に相手を理解したうえで会話をするのがよさそうです。
愛を求めすぎて、相手が思うように動いてくれないとムキー!ってなることありすぎる。
わからないときはわからないと言う
カップルや夫婦だと、相手のことがわかっていて当然と思うことがあります。
それゆえ、「こんだけ長くつきあっているのに、そんなこともわからないのか」なんて言われることもあるかもしれません。
相手の言っていることがわからなくても、ついわかったと言ってしまうことはありませんか?
そこはわからない、でいいんです。
わからないことをわからないということは、コミュニケーションのチャンスでもあります。
何度も同じことを言わせるのは問題があるかもしれませんが、とにかくわからないことは積極的に知る姿勢を見せましょう。
それはどういう意味?
ちょっとわからないんだけどもう少し詳しく説明してくれる?
〇〇ということで合っているかな?
そんな風に、相手が言ったことに対して自分がきちんと理解できるか確かめてみる。
するとどうなると思いますか?
自分が理解することの他に、ボーナスがついてきます。
熱心に話を聞いてくれている! と感心するわけですね。
一石二鳥とはまさに。自分も相手も喜べる魔法のコミュニケーション、「わからない」。
わからないからまぁいいや、の積み重ねが後から火を起こします。
火が起きる前に、放置せずに自分から立ち向かっていく勇気が、カップルの将来をより明るくすると思っています。
言っていることわからん!ってためこむより、言葉にしてしまえば相手もわかるように説明しようと努力してくれるものです。
コミュニケーションは、巧みに話せることではない
コミュニケーションという言葉で勘違いが生まれやすいことに、「うまく話せること」があります。
うまく話せることはその人の特徴であって、コミュニケーションが円滑に進んでいるとも限りません。
あくまでコミュニケーションは自分の意思を伝達する手段です。
英語しか通じない国で身振り手振りすることで会話が成り立つことがありますよね。
一緒に踊ることで心を通わせたり、静かな空間でつながりを感じることもあるでしょう。
そこには、確かにコミュニケーションがあるはずです。
カップルや夫婦も同じ。
言葉だけではなく、空気を味わいましょう。
口下手どうしでお互いよくわかっていないけれど、11年ケンカなしの夫婦の片割れより。