愛し合って結婚して夫婦になったのに、毎日を過ごすうちに「なんでこの人と結婚したのかな?」とモヤモヤすることはありませんか?
パートナーを嫌いなわけじゃない。でも、「夫婦関係はこれでいいのか?」「本来、夫婦はどうあるべきなのか?」など考えて、頭の中がごちゃごちゃになってしまう。正解がないテーマだけに、どうやって気持ちを楽にすればいいかわかりにくいですね。
僕は恋愛アドバイザーとして活動する中で、様々な人の相談に乗ってきました。
話を聞くうちに、夫婦関係の悩みの原因は、自分たち以外の夫婦のあり方を知らないからでは、と感じるようになりました。
そこで、いろんなライフスタイルを送る夫婦を紹介して、夫婦関係に悩む人のヒントになるサイトを作ろうと思いました。
「夫婦のカタチ」では、ちょっと変わった生き方をしながらも、強い絆で結ばれている夫婦の考え方や行動を紹介していきます。
今回お話を伺ったのは、喫茶店の常連客同士から交際に発展し、交際4か月でスピード婚を果たした薗部夫妻の夫婦のカタチ。
現在は0歳10か月のお子さんを夫婦一緒に育てられており、パートナーシップの強さはかなりのものがあります。
どうやって今の関係性を築いたのでしょうか。お二人にお話を聞きました。
相手の機嫌ではなく、その人といる時の自分の気持ちを見る

ーー交際4か月のスピード婚には驚きます。結婚に迷いなどはなかったのでしょうか?
薗部さん(以下、薗部):
なかったですね。妻とは地元の喫茶店で出会い、その後いろんなことがあって仲良くなって、僕の部屋でごはんを一緒に食べるようになりました。妻と一緒に食事をする時間が楽しくて、「ずっと続いたらいいな」と感じました。この時に結婚を意識し始めましたね。
今でも不思議なのは、その時の自分のステータスを全く気にしなったこと。実は当時体調不良で退職して療養中だったんですよ。体調に合わせてフリーランスのライターとして活動はしていましたけど、収入は不安定。ほぼ無職で収入不安定という最も恋愛や結婚に不向きだった状況でしたが、「この女性と結婚するんだ!」という意思だけは強かったです(笑)
奥さん:
私も迷いはなかったです。夫と過ごす時間は本当に楽しくて、ずっと続いたらいいなって思っていました。決め手は、夫といた時にとても心地良い気分でいられたことですね。
ーーお互いに自然体でいられるっていいですよね!どうやったら肩肘張らずに相手と向き合えるんでしょうか?
奥さん:
自分がどうやったら気分がよくなるかを考え、不快なことがあったらその場で伝えることですね。恋愛段階では、彼の機嫌を気にしすぎる女性が多いと思うんです。でもそれだと、自分の気持ちが二の次なのでいつか疲れてしまう。
薗部:
妻は自分が辛いと感じた時、その気持ちを我慢しません。たとえその場の空気が少し気まずくなったとしても、想いをちゃんと伝える人です。相手に無理して好かれようとして、自分を偽り続けるのは夫婦では無理でしょう。
奥さん:
当時から夫と一緒にいる時は、自分がどんな気分でいるのかに注目していました。夫と一緒にいる時の自分って自然体でいられているな、心地良いな、と感じたんです。様々な男性とお付き合いしてきましたが、初めて抱く感情でした。
パートナーの話を聞く”ゆとり”を常に持つ

ーーでも気持ちをストレートに相手に伝えると、ケンカになったらどうしようとか考えて、怖くて言い出せないことがあります。普段から言いやすい雰囲気をどう作っているんですか?
薗部:
僕は普段から、妻の話を聞けるゆとりを持つように心がけています。
ーーゆとりですか!?
薗部:
時間的、精神的なゆとりを持つことは大切です。いつも仕事や趣味などで忙しくしていたら、妻の気持ちを受け止められません。まあ、たまに仕事をやりすぎて怒られるけど(笑)
夫婦となったら、時には相手にとって耳の痛いことも言わなきゃいけないことがあります。そこで試されるのが、夫婦の信頼関係です。2人の間に信頼というベースがあるから、多少は不機嫌になっても、聞いてもらえると思うんです。
奥さん:
結婚生活において、信頼関係は大事です。結婚したからと言って、何か新しいことが始まるわけではないんです。イメージとしては、別々の場所を流れていた2本の川が合流するような感じです。
薗部:
そうそう!違う流れの川が合流するわけだから、大きな渦が起こって混乱するのは当然。その変化をいかに乗り切っていけるかが重要です。
ーー川の合流!素敵な表現ですね。だからこそ、お互いを信じ合うことが大切なんですね!
産後迎えたピンチ!夫は働き方を変えた
ーー「固い信頼関係があったからこそ乗り越えられた」というエピソードはありますか?
薗部:
息子が生まれた後、妻が「産後うつ」のような状態になってしまったんです。今振り返っても、あの時は辛かった。「産後クライシス」という言葉を聞いたことはありますか?それまで仲が良い夫婦でも、妻の出産後に夫婦関係が悪化するというものです。
女性は約10か月にわたる妊娠、命がけの出産で心身ともに疲労しています。その中で十分な休みがないまま育児に直面するんです。冷静に考えて、大変な負担です。この時期に夫がどのような行動をするかで、その後の夫婦関係が決まると言っても過言ではないと思います。
ーー今年妻の出産を控える僕には気になります……。
薗部:
夫婦のみの生活に、子どもという第3の川が合流するわけですから、ゴタゴタするのは仕方がないことです。結婚生活の中で、産後ほど夫婦間の信頼関係とコミュニケーション力が必要とされる時期はないのではないかと感じます。
何と言っても、お互いに余裕がないんですよ。特に第一子の場合は。右も左もわからないのに、子どもの命を守らなければいけない。常にプレッシャーにさらされ続けるこの時は、夫婦の絆なしに乗り切れない。
ーー(緊張のあまり無言)
薗部:
そうそう、エピソードですよね。僕が働き方を変えたことでしょうか。これには勇気が必要でした。
産後、僕はほぼ毎日企業に通っていました。通勤時間を含めると、1日12時間は家を空けていた。その間、家事と育児の負担が妻にのしかかりました。
心身ともに限界を迎えた妻はある時、感情を爆発させました。仕事をしないと経済活動を回せない、でもこのまま何も変えなかったら妻が壊れてしまう。どちらが大事か、欠けたら困るかを考え抜いた結果、僕は在宅メインの働き方をすることにしました。
もちろん、これは僕がたまたま家で仕事をしやすい職に就いていたからできたことだと思います。だから、「在宅ワークが最善策」ではないです。ただ、夫としては、独身時代や子どもがいなかった時期と働き方も生き方も変えずに過ごすのは無理があると思うんです。
奥さん:
彼が夫で本当に良かったと思います。もう辛くてどうしようもなくて、ある時夫が出勤時に「今日会社に行ったら一生恨むからね!」と暴言を吐きました。完全な脅し文句、私って鬼嫁ですよね(笑)でも当時はきつかった。そんな言葉を夫に浴びせるほど心身共に参っていたんです。
薗部:
鬼気迫るものがあったなあ……。
ーーお話を聞いてドキッとしました。すごい勉強になります!
家事は外注も活用して時間を生み出す

ーーそれだけ堅固な絆と思いやりがあるお二人なら、家事の負担は完璧そうです。
薗部:
夫婦が協力するのはもちろんですが、便利家電を用意したり、家事代行サービスを利用したりしています。産後に生活が一変したのに伴い、家事のやり方も変えました。
奥さん:
家事代行サービスについては、行政が提供するものをよく利用します。週1回、1時間掃除をお願いしています。民間に比べて値段が安く、始めるハードルが低いのが魅力です。現在では、タスカジという民間の家事代行サービスも不定期で取り入れはじめました。掃除や料理のクオリティがすごくて満足です。
ーーなるほど!ちなみに家電はどのようなものを揃えたんですか?僕も今後に備えて知りたいです。
奥さん:
ルンバ、食器洗い乾燥機、ドラム式洗濯乾燥機を揃えましたが、利便性の高さを感じますね。自分たちが外出している間に掃除がされているし、食器が綺麗になり、洗濯ものも干さずに乾いていて、最高です!家事をする時間を、休憩したり仕事したりする時間に充てられますよね。
ーー確かに!でもお金がかかりますよね……。
薗部:
かかりますね!妻から家電を買いたい、家事代行サービスを使いたいと言われた時は、「え、高いなあ」と消極的でした。でもお金の使い方を変える機会になりました。ただの消費なのか、投資的な使い方なのかの視点を持つことが大事だと感じました。
奥さん:
本音を言うと、オール外注にしたいぐらいです(笑)自分にとって創造性の高いことに充てる時間を優先したほうがいいですよ!一般的に見たら、私は家事をあまりやらないダメな妻でしょうけど、不満だらけで我慢してやった結果心が荒んでいたら、夫婦関係、子育てには悪影響だと思うので。
薗部:
「女性が家事をやる」という概念を手放したらいいと思います。機械がやれることは、任せていいですし。「男はこう、女はこう」という思い込みが柔軟な夫婦関係を妨げているように感じますね。
「ありがとう」と「愛しているよ」は毎日伝え合う

ーー夫婦関係を良くするために心がけていることって、ありますか?
薗部:
「ありがとう」「愛してるよ」など、日頃の想いを言葉で伝えることでしょうね。
奥さん:
私もそう思います。あと、私はちょっと苦手なのですが、相手を受け止めること。特に産後は初めてのことばかりで混乱してしまったのですが、夫はいつも広い心で受け止めてくれて本当に助かりました。
「ありがとう」の言葉もそうですが、夫は毎日小さな感動をくれるんです。いつも笑顔でいてくれて、旬の料理作ってくれたり、私の写真を撮って毎回綺麗だねって言ってくれたり。そういう一つ一つが、やがて大きな感動や感謝になっていく。小さな感動の積み重ねが夫婦間では大切だと思います。
ーー夫婦にとってとても大切なことがギュっと詰まった、素晴らしいお話を聞けました。
今後の発信も本当に楽しみにしています。今回はありがとうございました!
総括
薗部夫妻は、「自分たちがやるべきこと」・「自分たちがやるべきではないこと」の2点が明確です。
「やらなきゃいけないこと」だらけになっている夫妻は、見直してみてはいかがでしょうか。
そして、薗部さんの寛容な広い心と、奥さんの本音を通す姿勢のバランスが素晴らしいです。
奥さんは決してワガママを言っているのではなく、自分に優しくなれなければ家族全体に優しくなれないことを知っているのかなと感じています。
お二人の優しさは形が違っていて、だからこそ、その調和で作られる優しい空間。
お子さんも安心して元気に育っていきますね。
現状の環境に嘆くのではなく、自分たちから能動的に動くことで良い環境づくりを体現している薗部夫妻。
憧れではなく、是非、皆さんが描く家族の形をつくってみてはいかがでしょうか。
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