恋愛は一人でもできる。バーテンダー林伸次に聞く、恋と不倫と夫婦仲

 

やっち

bar bossaのオーナー、林伸次さんに最近の恋愛事情についてのインタビューをさせていただきましたよ!

 

渋谷駅前の焦燥から抜け、徒歩10分ほどの静かな場所に「bar bossa」というワインバーがあります。

僕は裏側にある別のお店のドアをノックしてしまったほど、場所がわかりづらかったんですが、その隠れ家のような店構えにむしろ魅力を感じました。

今回、bar bossaのマスター、そしてWebメディアで恋愛相談が集まる恋愛マスターでもある林伸次さんを訪問。

最新刊である「恋はいつもなにげなく始まって、なにげなく終わる。」について触れながら最近の恋愛傾向について聞きました。

 

林伸次
1969年生まれ。徳島県出身。渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」店主。レコファン(中古レコード店)で2年、バッカーナ&サバス東京(ブラジリアン・レストラン)で2年、フェアグランド(ショット・バー)で2年勤務を経た後、1997年渋谷にBAR BOSSAをオープンする。『ワイングラスの向こう側』『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』など著書多数。有料メルマガ『cakes』で連載中。

 

 

ストーリー中の、音楽と自称ブスの桃子さんについて

ーー本日はよろしくお願いします。早速気になっていることがあったんですが、著書のストーリーの前後で、必ず音楽について触れていますよね。こだわりがあるんでしょうか?

音楽ってあっという間にその場の空気を変えてしまう力があるんですよ。

こんなに暑い日でも、クリスマスの曲をかけてしまえば、ほらこの通り。

なんだか涼しくなってきませんか。

ーーすごい!本当に冬の訪れを感じさせますね。レコードにもこだわりがあるんですか?

こだわっている風に見せているだけです。笑

世代的にレコードを使っていたし、レコード屋で働いていたこともあって使っているんです。

ただの演出ですね。

これをかけていると、お客さんがこだわっていると勝手に思ってくれるんです。

店内、空気、飲み物、食べ物とか、すべてこだわっていると思ってくれるんですよ。

ーー僕もお店に入った瞬間にそう感じました。レコードが本当にお好きなのかと。笑

レコード自体は確かに好きなんですけど、機材とか音響とかなんとなくですし、

実際、何にもこだわりないんですよね、笑

ただ、そういう雰囲気づくりや演出ってすごく大事かと思います。

 

ーー自称ブスの桃子さんについてのストーリーがありましたが、林さんを批判するウワサの腐女子の皆さんからは批判はあったのでしょうか。

リア充っぽいこと書いたり、ルックスに自信をもとうとか、自己肯定感を高めていこうとか、こうするとうまくいく、といったことを書くと、「お前に私たちの気持ちなんかわからないだろ」と腐女子の方に言われます。笑

桃子さんのストーリーについては、特に批判とかなかったです。

最後に良い方向で終わるので、それがいいんでしょうね。

ーーちなみに僕は画家と女子高生の話が好きなんです。生徒のことを好きになってしまった先生が、その生徒を避けてしまう様子、胸が張り裂けそうでした。

あぁ、あれはロマンチストの方が好きなんですよ。やっちさんはきっとそうなんでしょうね。笑

どのストーリーが好きかで、その人の傾向とか見えるのがおもしろいんです。

 

 

不倫について思うこと

ーー著書の中で、何度も不倫という言葉がでてきました。ネット、テレビで常に話題のテーマですが、林さんは不倫についてどう思いますか。

前提として、もちろん不倫は良いものとは言えませんね。

不倫って皆さんにとって当たり前みたいな感じなんですよね。
この仕事をはじめて、一番びっくりしたことでした。

僕はいたって普通の文科系男子だったんですが、水商売をはじめて、絵に描いたようなおっさんが若い女性とワハハと楽しみながらお酒飲んでるのを見て驚きました。

不倫は世間的に認められてきた感じもありますけどね。

何千回もいろんなとこで書いたり言ったりしているんですけど、
人って元々、乱交状態が普通だったらしんです。

10人ぐらいの群れがあって、誰がお父さんかわからないような状態。
みんなで子供を育てていったんですよね。

恋愛感情って3年で終わりなど科学的に証明されていますし、

たぶん本来は浮気して不倫するようにできているのではないでしょうか。

ーーう~ん。自分の本能を抑制しちゃってるんですかね?葛藤がありそうです。

建前上、あなたを一生愛し続けますと誓って、それで不倫をするわけですからね。

葛藤はあると思いますが、いけないことしてるっていうのを楽しんでいるんだと思います。

ーー楽しんでいるっていうのが本音かもしれませんね。

 

 

みんな、恋愛に興味ない?

本を出してみてわかったことがあるんですけど、世の中は恋愛に興味ない人で溢れているんだということを知りました。

恋愛ってコスパが悪いって言うんですよね。

ドキドキしたりとか過程が楽しいんだと思うんですけど、そういうのすっ飛ばしてセックスしたいとか、効率を考えたりとかしてますよね。

ーーまず先に効率とか考えちゃってるんですね。

最近は結婚している人が少ないって話がありますけど、婚姻率が高かったのって昭和の一時期だけなんですよね。

江戸時代~戦後ぐらいまで、結婚する人少なかったんですよ。

リア充で、勝手に恋愛して、勝手に結婚する人って3割ぐらいだったんです。

7割ぐらいの人って恋愛してないんじゃないのって。

僕、cakesの記事って閲覧数がたくさんいくように恋愛記事考えるんです。

閲覧数いくのって、お金、ビジネス、セックス、恋愛のこととかって思っていたんですよね。

恋愛ってすごく大きなパイだと思っていたんですけど、そうでもないんです。

これ、なんでなんでしょう?

ーー僕も恋愛は大きなパイだと思っていましたね。自説ではあるんですけど、2点あると思っています。

・映画やアニメのようなコンテンツとして恋愛は楽しみたいけど、当事者として関わりたくない本音がある

・自分のことを知って傷つくのが怖い人が増えている

なるほど、当事者として関わりたくないというのはなんだか納得です。

コンテンツとしては楽しみたいけど、いざ自分が深く関わるのはめんどくさいんですかね。

あと、最近ってなんで傷つくのが怖い人が増えちゃってるんでしょう?

ーー怒られ慣れしている人が減っているのと、好きなことを伸ばす傾向があるという点が影響しているのでは。嫌なこと、苦手なことを遠ざける傾向にありますね。

あ、それで恋愛も、苦手な人は遠ざけちゃうんですね。

今って、ネットで最初から興味が一致している者同士が話してますもんね。

最初から価値観の合う者同士が集まることに慣れていると、当然ながら摩擦に慣れていない人は大変ですよね。

恋愛はそもそも摩擦があるものですから、遠ざけちゃうのも無理はないですね。

一人っ子が増えてるのもあるのかな。昔は近所にガキ大将がいて、ケンカするのも当たり前にありましたからね。

これって、どうしたらいいんでしょうね。今って、コミュニケーションがうまくいかない人に向けたサービスとかってあるんですかね。

ーー例えばLINEの返し方、デートの仕方みたいのを教えるサービスはありますよ。

ということは、皆さん興味自体はあるんですよね。

そういえば昔は雑誌に恋愛コーナーみたいのがあって、メールはこう返して、エロ本はここに隠すみたいのがありましたね。

ちなみに、女性とデートの練習をするサービスとかってあるんですか?

ーーありますね。ひたすらダメ出しして勉強していくみたいな。

なんかもう、少子化をおさえたいんであれば、義務教育でそういうのあってもいいんじゃないかってジャンルですよね。

ーー僕も本気でそれは思います。

 

 

恋愛をする意味は、ゲームのようなもの

ーー人間が子孫を残すために子供を産むとしたら、恋愛は必要なのかという意見もあります。男女が恋愛をするという意味について、林さんの考えを聞かせてください。

ゲームじゃないかって思うんです。相手が入ったゲーム。

付き合ったり、契約したりとか、恋愛ってついこないだまでなかったものなんですよ。

時間ができて、文化的な余裕もできて、いろんなものができてきたから、楽しむためのゲームだと思います。

将棋とか麻雀とか好きな人がいるように、勝負の相手がいるってことだと思うんですよね。

ーー心理戦みたいなものですよね。

そうですそうです。

どんどんスキルを上げていって、相手と話していくのが楽しいんだと思います。

ーードラゴンクエストみたいですね。ステータスを上げていくみたいな。

年収1000万とか、整形したりとか、何かを手に入れて相手と勝負していくんでしょう。

恋愛結婚なんて、まさに最近生まれた文化ですよね。

昔では常識だった、お見合い結婚ってすごく楽だったと思うんです。

親が連れて来たり、親戚とか近所のおばさんとかが薦めてきて。

親の跡を継ぐとか、士農工商で結婚相手が決まっていた時代は、思春期がなかったんです。

今って、思春期があるから大変ですよね。

自分はどんな人間なのか、何がやりたいのかとか思春期があると悩みは絶えませんよね。

好きな人できなきゃいけない、付き合わなきゃいけない、セックスしなきゃいけない、結婚しなきゃいけないとか、こうしなきゃがすごく多いんです。

ーー納得です。僕もとても悩みましたね(遠い目)

 

 

恋はいつもなにげなく始まって、なにげなく終わる

ーーいくつもの恋愛が、相手の知らない間に終わっているとしたらもったいないなと思ってしまうんです。林さんは二人ではじまるからこそ恋愛って思いますか?それとも一人の片思いでもそれは恋愛って思いますか?

恋愛は一人でもできるものと思っています。

やっちさんは、恋は相手に必ず伝えたほうがいいと思いますか?

ーー僕は伝える派です。伝えない後悔より、伝える後悔と思っています。

なるほど、そういうことですね。

僕も伝えたほうがいいとは思っている人間です。

ただ、伝えない恋もいいと思っているんですよ。

大人になってしまったかな。

家庭を壊したくない人が恋に落ちてしまって、でも絶対好きになっても伝えないという話があって、僕はそれでいいんですか?って聞いたんです。

そしたら彼女、恋愛って風邪といっしょで、いつかなにもなくなるからって言うんですよ。

風邪ってずっと我慢してたら消えてしまうから大丈夫だよって。

消そう消そうと思ったら、一年で消えたりするもんなんですって。

ずっと我慢していたら、恋心って自然に消えていくんです。

だから、一人でする恋愛もありだと思うんです。

ーー恋って本当に奥深い!切なくて、鳥肌が立ちました。

 

 

みんな、ちょっと背中を押してほしい

ーーbossaで、出会いを支援する場をつくっているんですよね?

10人と10人の男女でやっています。

全員としゃべって、良いなって人を5人選ぶんです。マッチング率すごく高いんですよ。

恋愛って、ステキな人がいても誘った時に断られるのがみんな不安なんです。

相手がどう思っているのか、というのがみんな気になっているんですよね。

だから間に入って、「あの人、あなたを好きって言ってますよ」ってこっそり伝えるんです。

そうすると、カップルができやすいんですよね。

ーーこっそり感、みんな好きですよね。家に帰ってから連絡とか。

婚活みたいな場にすると、男性が来なくなるんです。

プライドが高いから、焦っていると思われたくないんですよね。

本当はみんな彼女がほしいし、セックスもしたいと思っているんじゃないかと思います。

男性って、深い関係を避けますよね。

お城をまわりましょうとか、歴史を知りましょうとか、電車のこと語り合いましょうみたいなのだと来るんですけど。

 

いっしょになにかを育てるってことが大事なんじゃないか

ーー最後の質問です。林さんと奥様の様子を拝見していて、とても優しい愛を感じています。林さんが考える夫婦仲をより良くするためにできることについてお聞かせください。

もしかしてと思うのは、べったり会っていないということ。

朝の少ししか会わないんです。

ずっと一緒にいると、もう少し関係も変わってくるのかなと思います。

夜の仕事をしているんで、帰ったら妻は寝てるんです。

朝ごはん食べる時に少し会ったりするぐらいです。

 

あと、直接お店に出なくても経理をやってもらったり、二人でお店をやっているんですよね。

二人で何かをやって、育てている感じ。お店自体が子供みたいなものなんです。

二人で何か一つのことを共同でなにかやっているのが大事だと思ってます。

犬飼っているのもいいんじゃないかって思います。

娘もいますが、犬を中心にみんなが繋がっている感じありますよね。

犬が体調崩すとすごくみんなが心配して連絡取り合いますしね。

店とか、子供とか、なにか面倒をみんなでみるっていうのが繋がりを深めていると感じています。

 

あと飲食業やっているのもあって、食べに行ったり飲みに行ったりします。

外に二人で出かけて冒険するっていいと思います。

一ヵ月に一回は必ず知らない青山、恵比寿、中目黒、銀座とかのお店に入るようにしているんです。

恋愛もそうだと思うんですけど、一日かけて山に登ったり、お化け屋敷やジェットコースターとかに行くと、吊り橋効果っていうんですか?ドキドキするでしょう。

冒険して一緒にドキドキするのって大切だと思うんですよね。

お店を継続させていくためにこれからどうしようとか話し合うんですけど、一緒に育てていくっていうのが良いのかなと思います。

ーーいやぁ、結婚してからもドキドキできるご夫婦、本当に素晴らしいなって思います。
林さん、今回はありがとうございました!

 

今回、林さんが出版された「恋はいつもなにげなく始まり、なにげなく終わる」は好評発売中です。

cakesでも、1つ1つのストーリーを読むことができます。

是非、読んでみてくださいね!

 

cakesで連載中!『恋はいつもなにげなく始まり、なにげなく終わる』
https://cakes.mu/series/4128